l はじめに
AutoCAD 2011 では「透過性」という新しいオブジェクト プロパティが追加されました。透過性プロパティの値には ByLayer、ByBlock、あるいは固有の値(0-90%)を設定することが可能で、色、線種、線の太さなどの他のオブジェクト プロパティと同様の操作方法で設定を行えます。透過性の用途として、オブジェクトが重なっている場合に、上にあるオブジェクトに透過性プロパティを与えることにより、下にあるオブジェクトが透けて見えるようになります。
l 透過性プロパティの適用方法
オブジェクトに透過性プロパティを適用するにはいくつかの方法があります。
1. リボン: リボンの[ホーム]タブにある[プロパティ]パネルに、透過性コントロールとスライダーが追加されました。コントロールでBylayer/Byblock/透過性の値を選択し、スライダーを使用して透過性の値をコントロールできます。
2. システム変数: CETRANSPARENCYと入力し、Bylayer、Byblock、または 0 から 90 までの値を指定します。ここで設定した値は、新しく作成するオブジェクトの既定の透過性レベルとなります。また、この設定はリボンのプロパティ パネルの設定と呼応します。
3. コマンド内のオプション: 次のコマンドに新しく透過性オプションが追加されました: CHPROP, CHANGE, -LAYER, VPLAYER, SETBYLAYER, LIST。
4. [プロパティ]パレットと[クイック プロパティ]パレット: [プロパティ]パレットと]クイック プロパティ]パレットの両方に[透過性]プロパティが追加されました。
5. 画層プロパティ: [透過性]カラムが追加されました。画層ごとに透過性をコントロールします。
l 透過性の印刷方法
透過性を適用した状態で印刷する場合は、[印刷]ダイアログの[印刷オプション]にある[透過性を印刷]をオンにしてください。透過性を印刷するとパフォーマンスが遅くなることがありますのでご注意ください。バッチ印刷やパブリッシュにより出力を行う場合、このオプションを設定することにより、特定の図面でのみ透過性を印刷するように指定することができます。
透過性の印刷をすべての図面で統一したい場合は、システム変数 PLOTTRANSPARENCYOVERRIDE を使用すると、[ページ設定]または[印刷]ダイアログにある[透過性を印刷]設定を上書きすることができます。PLOTTRANSPARENCYOVERRIDE の値に 0 (=オブジェクトの透過性を印刷しない)、または2 (=オブジェクトの透過性をすべての図面で印刷する)を指定してこれらを実行することができます。ただしこの方法は、[ページ設定]または[印刷]ダイアログの設定を書き換えることはないので、既定の設定を変えたことを忘れて印刷すると混乱を招く可能性があるのでご注意ください。
l 3D 図面で透過性を使用する場合
表示スタイルが[コンセプト]、[隠線処理]、[シェードとエッジ]などに設定されている場合、3Dオブジェクトの輪郭を示すシルエット エッジが見えます。このシルエット エッジを適用したくない場合は、システム変数 VSSILHEDGESの値を 0 に設定してください。また、3D 図面で透過性を使用する場合は、[手動によるパフォーマンス調整]ダイアログ ボックスにある[透過の品質]オプションを[高]に設定することをお勧めします。
Shiho Tanaka of AutoCAD QA